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「いつまで眠ってるんだ、あの猫娘」
青木が赤木に文句を言うのが聞こえる。
「睡眠薬の量、多かったかなぁ」と赤木。
「それ、やばくないか? 量を間違えて死んだ奴もいるんだろ? 」
「大丈夫だよ。死ぬほどの量はもらってないから。それに、目が覚めて暴れたりされるより、眠ってもらってる方がいいじゃないか」
「それもそうだな。よし、それなら部屋に鍵をかけて俺たちはアトリエでDVDでも観るか」
二人の会話が聞こえなくなったところをみると、部屋を出て行ったのだろう。
【社長! 私お腹が空きました。助けられた時にすぐ食べられる物、用意しておいてください】
二人の悪人が去ったからか、美猫がしゃべりだした。
【分かった、何が食べたい? 】
互いに近くに居ると分かっているからか、悲壮感はない。
【今ここに、ハンバーガーがあるけどこれでいいなら、取っておくけど】
【ハイ、それでいいです。絶対食べないで取っておいてくださいよ】
二人の会話を聞いて、翔が「この期に及んでまで食い物の話か、色気もくそもないな」と鼻で笑った。
その時、犬一が結羽と翔の腕を引っ張った。何事かと振り向くと窓の向こうを指さしている。
そこにはパトカーと伏子の乗った車がゆっくりとこちらに向かって来ていた。
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