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門扉は上から内側に手を伸ばせば開けられる閂タイプだったので、たやすく開けられた。
音を立てないように中に入ると、翔たちが車に向かう。それを見届けて龍矢がインターフォンを鳴らした。
当然結羽たちはドアの陰に隠れている。
「はい、どなたですか? 」
男の声。主である青木に違いない。
「郵便局です、青木さん宛の荷物をお届けに来ました。印鑑をお願いします」
「う~ん、心当たりがないんだけど、送り主は誰ですか? 」
さすがに用心深い。
「それが、英語で書かれている上に文字がにじんでいて読めないんです。お心当たりがないようでしたら持ち帰りますが」
しつこくすると返って警戒する心理を逆手にとって、龍矢がわざとすげなくする。
「いや、ちょっと待って。とりあえず確認するから」
ドアを開ける音、バタバタと歩く音がして「え~と、印鑑はどこだっけ」という声がしている。
ガチャン! 玄関ドアが開いた。
「すみませんね、これなんですけど」と龍矢が予め用意していた箱を持って、
ドアから少し離れて立っている。
ドアから離れているため、相手の方が外に出て近付いて来る。
その瞬間、スタンバイしていた犬一が飛び掛かった。結羽も龍矢も続いて飛び掛かる。
その間に伏子がチワワを抱えて玄関を入って行った。一瞬のことで青木は声を立てることもできなかった。
美猫にさるぐつわをする話を聞いて根に持っていた結羽が、自分の上着を青木の口に噛ませたあと、一発お見舞いしたのだ。
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