突入のとき

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 やがて美猫が「皆、行っちゃたの」と顔を上げた。  その顔が仔猫みたいにめっちゃ可愛くて、結羽の顔がフニャンとなった。 「俺たちも帰るか? 」 「うん、おばあちゃんたち、心配してたでしょう? 」 「あぁ、おばあちゃんだけでなく皆心配してたよ」  そう言うと、結羽は美猫の背中押して歩き出した。 仲間が電気や戸締りをしていったらしく、室内は暗くなっている。結羽は玄関で家の鍵を見つけるとポンと放り出されていた美猫の靴を見つけて履かせた。  青木たちは一応、美猫の履物は持参していたようで助かった。車に乗ると、ハンバーガーの臭いが一気に押し寄せて来て、その存在をアピールしている。 「そうだ! お腹空いてたんだ、私」美猫が嬉しそうに、匂いの源を探す。    結羽がダッシュボードから取り出して渡した。  自分も昼抜きだったが、美猫が美味しそうに食べているを見て「もう一つも食べていいよ」と美猫に譲った。 「飲み物は? 」ガツガツ食べたせいで、喉に詰まりそうになったのか美猫がキョロキョロとペットボトルを探している。 「俺の飲みかけでいいなら、そこのドリンクホルダーにあるけど…… 」 「うん、それでいいよ」  返事と同時に何のためらいもなく、それを手にしてゴクゴクと飲みだした。  ーーへぇ~、いいんだ  ちょっと、うれしい。  
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