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母屋では、良子と萌黄が話している。
「奥様、嬉しそうですね」
「そりゃそうよ。今度こそあの二人は結ばれる」
「そんなに決めつけちゃって、いいんですか。赤飯まで炊いちゃって」
良子が炊飯器の蓋を開けて、炊きあがった赤飯を眺めている。
「何、良子さんは疑ってるの? なら、私と賭けでもしますか? 」
萌黄がにんまり笑ってミューを膝の上から降ろした。
「嫌ですよ。私だって、結ばれる方に賭けたいんですから、二人ともそっちに賭けたんじゃ、勝負にならないでしょう? 」
「ほらね、良子さんだって確信持ってるんじゃない」
良子が茶碗に赤飯をよそって、萌黄の前に置く。
「だって、孫娘が男と一夜を共にするよう仕向ける祖母っておかしくないですか」
「どこがおかしいの? もう、老い先短いばばぁとしては、早く孫に恋人ができて結婚して子ども産んでもらったほうが、思い残すことがなくていいのよ」
「分かりました。そんな殊勝なこと言ってないで、ちょっとばかり早いお祝いの赤飯を頂きましょうよ。ご馳走、いっぱい作ったんですから」
二人はお猪口に日本酒を注ぐと、萌黄が「美猫と結羽の合体に」と言いかけたので
「奥様、合体ってまたストレートな…… 」と良子が呆れて止めた。
「他に適切な言葉が浮かばないから、分かりやすくていいじゃない」と言うと、続けて「乾杯」と言って、お猪口を飲み干した。
◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇
その夜、命守から結羽たち能力者へ一斉に連絡メールが流れて来た。
『能力者の皆さん、今回の鬼皇による騒動は本日をもって制圧を終了しました。皆さんの活躍に感謝します。
今後は平常の生活に戻っていただいて構いません。ただ、日本には、まだまだ知られていない邪教集団や秘密結社、反社会的勢力が存在しています。
彼らが事を起こす時は、再び皆さんの力が必要になるでしょう。その時はよろしくお願いします。』
――― 終わり ―――
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