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10 部屋に戻った浩市は不機嫌であった。 麗華には、浩市の気持ちが理解できなかった。 「もう、寝なさい。麗華の頭脳に休息と栄養を与え無いと 脳が死んでしまうから、早く寝なさい。 寝てる間に脳に栄養を与えておくから。」 と、麗華に休息を取る様にと命令口調で言った為、 麗華は速やかに眠りに付いた。 浩市は道子の脳に栄養を与え、それと同時にサイボーグのメンテナンスをして、基本的な能力を低下させた。時刻は午後の11:00を過ぎていた。 浩市の目的を達成する時間は、限られていた。 何故なら、道子から移植した脳の寿命に限りがあるからである。 どれくらい時間があるかは定かではないが、浩市は永くても6か月と予想していた。 移植してから、まだ一週間だが早く目的を達成したい と言う想いは強まる計りであり、それと同時に焦りも感じる様になってきた。 最初の目標であった、麗華と大橋を会わせ、懇意にさせた事には 満足が出来た。 次は、麗華と大橋がベッドを共にし、大橋を殺害する。 方法は決めてあるが、麗華にどの様に伝えるかを、 浩市は思案していた。 その殺害方法は、麗華の爪に猛毒を塗り大橋を掻きむしるか、爪を立てて皮膚に挿し込む、何れかの方法である。 死因は殺害されたとは思えないであろう。毒の成分が検出し難がたく 心臓麻痺の様な症状になるからである。 仮に麗華が殺人で捕まったとしても、サイボーグである。 どの様な判決になるのかは判らない。 ただ、道子の頭脳に殺人を強要しても、殺人を拒否するであろう。 どの様に納得させ実行させるかが、悩ましい事であった。 それに麗華が大橋とベッドを共にするのか? と言う事である。 今日の様子を見ていると麗華は大橋と懇意に話しをしており、嫌な雰囲気ではない様に見えた。 麗華が誘えば大橋は、必ず乗ってくるはずである。 悩んではいたが、浩市は、ある方法が閃いた。 これなら、上手くいくはずである。 安心したのか、急に睡魔に襲われ浩市はベッドに入った。
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