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12 深夜 浩市は、麗華を寝させた後、麗華の爪にマニュキアを塗った。 マニュキアには、毒が塗ってある。 麗華の爪の長さは、オシャレな女性なら伸ばすほどの長さであり 不自然なものでは無い。爪も人間の様に見えるが、硬い金属で これが肌にめり込むと、毒が身体に周り、大橋の息が絶えるという計画であった。 警察に例え殺人とバレテも、麗華を始末すれば、証拠は残らない。 サイボーグなど、いくらでも作ればいいだけである。 浩市には、人の生命を奪っても罪悪意識は感じていない、 自分の望む復讐が達成されればそれで良いと考える人間であった。 麗華に脳を移植した、道子の事など眼中に無い人手無し。 それが、新美浩市である。 約束の時間に間に合う様に、浩市は麗華を車に乗せ、ホテルに向かった。 麗華には、白衣を着せ、サングラスとマスクをさせた。 いかにも、マッサージの叔母さんという感じに仕立てた。 「麗華、私は駐車場で待っているから、マッサージが済んだら、此処にきてくれ。必ず、サングラスとマスクは外さない様に。 麗華の顔は目立つから取ってはいけない。それと、男性一人の部屋に行くのだから、気をつけて。くれぐれも人に見られない様に。」 と、言ってもホテルなら監視カメラが設置されているのだが、 浩市はその存在を知らないみたいだ。 麗華は言われた通りに405号室の前でインターホンを押した。   バスローブに身を包み、既に大橋は準備が出来ていた。 「良くきたね。一人できたの?」 と、問いてきた。 「一人で来ました。今日はどの様にさせて頂くのでしょうか?」 「さすがに、元マッサージをやっていただけあるな」 と、人を見下し、いやらしい笑みを浮かべ、麗華を部屋の中に連れこむみたいに、案内した。 「まあ、掛けたまえ。」と、麗華を椅子に座らせた。 「君は、いける口だね。」 と、ビールをコップに注ぎ差し出して来た。 浩市との打ち合わせに無い、筋書きに麗華は困惑したが、 お酒の好きな頭脳が、拒む事をしなかった。 一気に、ビールを飲み干した後、麗華は言った。 「私、お酒を飲みに来たのでは無いのです。 兄に言われて、先生のマッサージに来たのです。 マッサージしないと兄に怒られてしまいます。」 と、強めの語調で言ったが、大橋はその言葉を無視して二杯目を 注いだ。 仕方無く、麗華はビールを飲んだ。 「いい飲みっぷりだね。もう一杯どう?」 「あの〜、マッサージが済んだら飲みますので‥」 麗華は、意味深に答え、眼差しも意味深げに大橋を見ている。 「分かったよ、もんでもらうよ。」と嬉しそうに言い 「どうすれば良いの?」と聞いてきた。 麗華は、予定通りにうつ向きに寝させ、首の後ろに手を回し、爪を立てた。 時刻は、19:40であった。
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