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「お願い運転手さん! 飛ばせるだけ飛ばして!」
待ってるの。
ずっと待ってるはずなの。
「(私のバカ! 大事な日なのはわかってたのに……)」
腕にはこの日のために頼んでいたバラの花束。
喜ぶ顔が見れるはずだったのに。
今はもう泣き顔しか浮かんでこない。
一人で、静かに。
あの子が準備してくれた食事が手つかずのまま、食卓にならんでいるだろう。
向かい側に座る私を待って、彼女はじっと待ってる。
何度かスマートフォンのRINEでメッセージを送るも、既読はつかない。
「(もうマジ……情けなくて私が泣きそう……)」
それでも涙を流すわけにはいかない。
明らかに私のミスだし、連絡不精な私のせいだから。
仕事でかける電話は平気なのに、プライベートで使用する電話はどうにも苦手でつい怠ってしまう。
今まで仕方ないね、と苦笑いで許してくれていたあの子。
さすがに今日はもう愛想がつきたのか。
もう一度スマホを確認するがやはり既読にならなかった。
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