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言い訳はしない。何度も同じことをしてるから理由は彼女にはわかってる。
彼女の半身を起こして、コートのポケットから小さなジュエリーボックスを出す。
「イエスなら、受け取って」
「ノーならどうすればいい?」
「ボックスの蓋を閉じてくれればいい」
「そう……わかった」
「あ……ま、待って!」
彼女が伸ばした手から少し自分のボックスを持つ手を引く。
緊張してしまう。震える手を見つめて一度深く息を吐いた。
「私の、恋愛遍歴は覚えてる?」
「……うん。誰とも1ヶ月と持たなかったって」
「こんな私だからね……。でもあなたは違う。それはひとえにあなたが我慢してくれてるからだって、わかってる」
「…………」
無言で私の懺悔を聞いてくれている彼女は俯いていた。
何を考えてるのか、彼女を見ていても測りかねる。
でも、いま口説くのをやめるわけにはいかない。
「付き合い始めてすぐ一緒に暮らし出して、気づけばもう3年。今までありがとう」
感謝の気持ちを言葉にした瞬間、彼女はこちらを向いた。
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