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私は揺れている瞳を見逃さなかった。
「最初で最後のプロポーズ」
「……今までありがとうが、プロポーズなの?」
「一緒にいる時間を、これからも更新していきたい。1秒でも長く……」
そこまで言うと、もう一度ジュエリーボックスを彼女の前に出した。
「イエスなら指輪を取って。ノーなら蓋を閉じて」
じっと、差し出したボックスを見つめる彼女の反応を息を詰めて見ていた。
どちらの返事でも、甘んじて受けるつもりだがどうしても手が震える。
「……今日のこのときに、同性婚が認められたこと。無意味とは思えない……」
呟きを大人しく聞く。
「仕事と私、どっちが大事なの? とは聞かない。でもこの3年を諦めたくもない。あなたを愛してる……」
「うん」
彼女は自分の手を、ボックスを開いている私の手ごと上下に添えた。
「私も、あなたとの時間を更新していきたい」
ぐっと顔が近づいてきたと思ったら、唇にやわらかい感触が触れる。
思いの丈が込められた口づけに、胸が熱くなる。
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