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抱きしめたいけどガッチリと手を握られているからできない。
そして唇は離れない。
どうしたものか、と思案していると彼女がボックスから指輪を抜いた。
「はぁ……」
「これからは、きちんと連絡ちょうだい。際限のない待ちぼうけはもう嫌よ」
「はい」
抜き取った指輪を、顔の高さまで持ち上げると私に渡した。
「指に……」
言いながら差し出してきた左手。
もちろん薬指にはめた。
「朝になったら婚姻届、出しに行こう」
「その前に……たくさん愛して?」
可愛いおねだりをしてくる彼女に、締まりのない笑顔をみせてしまったのは仕方がないよね。
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