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 月曜日、土岐くんがまだ教室に来ていないことを確認して、松浦くんに問いただした。 「ねぇ、松浦くん。土曜日に柚木さんと映画観に行ったでしょ」 「え、見られてたの?」  松浦くんは周囲を見渡して、口に手を当てて小声で話した。 「オレと柚木さん付き合ってっから。周りにやっかまれるの嫌だから内緒にしてんの。誰にも言うなよ」  足元から何かが崩れていくようだ。確定だ。土岐くんの失恋が確定した。  私は土岐くんにどんな顔をして会えばいいのだろう。 「あ、土岐おはよう」  松浦くんが、教室に入ってきた土岐くんに手を振る。「おはよう」といつものように教室に入ってくる土岐くんに、戸惑いを隠せない。 「仲道おは……」 「おはよう〜! じゃ!」  かぶせ気味に挨拶をして教室を飛び出した。  あーー、どうしよう。顔見れない。でも、放課後にはまた公園で待ち合わせ。  授業中、土岐くんの背中を斜めに見ながら、ずっと柚木さんと松浦くんのことがぐるぐる回っている。  一日の終わりを告げるチャイムが、今日ほど鳴らなければいいのにと思ったことはない。土岐くんがいつものようにチラッと私を見る。私は平静を装い目を合わせた。先に教室を出ていく土岐くんの後ろ姿を見るのが辛い。仕方なく私は重い腰を上げた。
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