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今日もまたペットボトル投げが始まる。
「よっ」
「昨日はミルクティーありがとう」
「いつも手伝ってくれてるから、そのお礼」
少し照れている土岐くんは、相変わらずぶっきらぼうに顔を背けた。
「元気出たなら良かった」
土岐くんの隠せない耳がほんのり赤い。土岐くんはすぐに照れて赤くなる。この後頭部の向こうはどんな顔をしてるだろうか。
私もいつものようにカバンをベンチに置いて定位置に立つ。
下手なのか、センスないのか。一向に入らないけど、何度も挑戦する。柚木さんに告白するために。
嫌だ。一瞬、ずっと入らなければいいのにって思ってしまった。だって、土岐くんの想いは届かないんだよ。柚木さんは松浦くんが好きなんだよ。どんなに一生懸命想っていても、それは揺るがない。
「どうしても告白するの?」
私はペットボトルを拾って投げた。
「うん。なんで?」
ペットボトルがゴミ箱で跳ねる。
「彼氏がいたらどうするの?」
土岐くんに投げ返す。
「いてもいなくても、オレは告白する」
またペットボトルは、ゴミ箱の入り口付近で音を立てて落ちる。
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