7

2/4
前へ
/17ページ
次へ
 本気なんだ。振られてもいいから柚木さんに告白するつもりだ。  応援したい気持ちはあるのに、素直に応援できない。だって、土岐くんは柚木さんに利用された上に振られてしまうなんて。  投げ返したペットボトルは、思わぬ方へ飛んだ。 「あ、ごめん」 「いいよ、いいよ」  文句も言わず取りに行く土岐くん。一途で、優しくて、一生懸命で、ちょっぴり照れ屋さんで。どうしてあんな柚木さんのことが好きなの? 絶対に私の方が、土岐くんのいいところいっぱい知ってる!  土岐くんがペットボトルを投げる。  辛い。どうか終わらないで。私たちのこの時間がずっと続けばいいのに。  ゴミ箱を跳ね返る音に安堵する。応援するって言ったのに。私は矛盾している。  ――お願いだから、入らないで!  そう願えば願うほど、現実は残酷だ。今まであんなに挑戦しても入らなかったのが嘘みたいに、きれいな放物線を描いてゴミ箱に吸い込まれた。 「え! マジで? やったぁ!」  溢れんばかりの満面の笑みで、土岐くんはかけよってきた。手を掴まれて「ありがとう! 本当にありがとう!」と大興奮だ。なんなら若干涙目だ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加