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どうしよう。素直に喜べない。応援するって言ったのに!
「え、ど、どうしたの……」
涙目なのは私もだ。一歩手前まで我慢していた涙が、まばたきと共に頬をつたい落ちた。
土岐くんは少しうろたえながらも私にハンカチを渡してくれた。
「告白しないでほしい」
「え」
耐えられなくて出てしまった言葉は、きっと土岐くんを傷付けた。
「迷惑かな」
いつもの明るい表情は消え、戸惑っているのは一目瞭然だった。
何も答えない私に「分かった」と言った。
「でも、オレは言いたい」
土岐くんの想いは、私には止められないんだ。涙が次々と溢れて、まともに土岐くんが見られない。
「仲道」
土岐くんが私を呼ぶ声は、心なしか震えている。
「今までありがとう」
私は俯いたまま頭を横に振った。行かないで。柚木さんに告白しないで。
「仲道のことが、好きです」
私は土岐くんの言葉が信じられなくて、思わず顔を上げた。涙が熱を帯びて落ちていく。
「オレと付き合ってください」
相変わらずの赤面に、私は胸がキュンとなる。そして気が緩んだのか、涙が止まらない。
「柚木さんのことが好きなんじゃなかったの?」
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