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 ――あぁ、なるほど。柚木さんに告白するんだ。  ペットボトルがうまくゴミ箱に入ったら、土岐くんは柚木さんに告白する。その願掛けなんだ。  柚木さんも好きじゃなきゃ、あんなにしょっちゅう土岐くんに会いに来ないでしょ。なんかいつもいちゃいちゃして、土岐くん大抵真っ赤になって帰ってくる。  ずっと幼なじみで、進展しないタイプか。仕方ない。 「応援するよ、私」  土岐くんの想いが、柚木さんに伝わりますように。 「え、ありがとう」  こんな優しい表情で笑うんだ。ますます応援したくなる。 「仲道、応援してくれるなら手伝ってよ」 「何を?」 「投げて入らなかったら、その度にペットボトルを取りに行かなくちゃいけないだろ。だから、仲道はゴミ箱の近くにいて、外れたらこっちに投げ返してほしい」  なるほど。時短だ。それだけ挑戦回数も稼げるよね。 「いいよ」  パッと土岐くんの表情が明るくなった。 「やった。ありがとう。行って戻ってってするだけで、大変なんだよ」 「まぁ、そうだろうね」  さっき見ていても、行ったり来たりで何やってんだろうって思ったから。 「このこと、絶対誰にも言わないで。冷やかされたりするの嫌だから」 「分かった」 「信用してるから、本当に、絶対に言わないで」 「分かった分かった」    こうして二人だけの秘密ができた。
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