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雨の日や用事がある時はしない。用事がある時は互いにLINEを送ることになっている。
それ以外は大体いつも公園のベンチで待ち合わせしている。
「土岐くん」
「よっ」
これは口癖らしい。
「今日はオレンジジュースなんだ」
「いつも同じだと飽きるから」
「へぇ」
いつも少し雑談をする。
「今日の数学の授業、意味分かった?」
「え? うん、多分」
「マジで。ちょっと教えてよ」
「いいよ」
始める前に、時々勉強を教えることもある。
「ありがとう。仲道、頭いいんだね」
「まぁ、土岐くんよりは」
「チッ、今にみておれ。次の試験で仲道を抜いてやる」
「私いつも学年で二十位以内だけど、土岐くんは?」
「……昔のことは忘れた。さ、始めるか」
「え、今ごまかそうとしたよね」
「さぁ今日も一日頑張ろう!」
「もう夕方だよ」
願掛けでペットボトル投げてる時点で変わってる人だなって思ってはいたけれど、話せば話すほど意外とおもしろい人だった。
そしていつものペットボトル投げが始まる。
狙いを定めて、土岐くんは構える。想いを込めてペットボトルをふわりと投げる。ペットボトルは放物線を描き、ゴミ箱に当たって跳ね返る。
「惜しい!」
私はペットボトルを拾い、土岐くんに向かって投げる。そしてまた放物線を描き、土岐くんがキャッチする。たまに失敗するけど。
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