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手を振って、ここだよってゴミ箱をわざとらしく指差してくる。もう、分かってるってば。深呼吸を一回して、えいっと投げた。
まるでスローモーションのようにペットボトルは弧を描き、ゴミ箱の中に入っていった。私は目を丸くしたが、それ以上に土岐くんの方が驚いていた。
「え! すっげぇ! 仲道やったじゃん!」
興奮気味にかけよってきて、肩をバンバン叩かれた。
「なんで? オレ何回投げても全然入らないのに、仲道すげえ!」
興奮冷めやらぬ様子で、私の周りをピョンピョン飛び跳ねて、まるで小学生のようだ。
「よし! なんか、やる気出てきた! オレも仲道に負けてられない」
土岐くんはやる気になって周りをキョロキョロし始めた。もしや、ペットボトル探してる?
「土岐くん、ペットボトルはゴミ箱の中だよ」
「あ! ゴミ箱に入ったんだった!」
恥ずかしくなったのか、耳を真っ赤にして口元を手で隠した。
「オレ一人でテンション上がって、めっちゃ恥ずかしい」
「大丈夫だよ。何を今更」
恥ずかしそうに笑う土岐くんが、単純にかわいく思えた。こんなくだらないことで一生懸命になって、真剣に取り組んで。
「早く告白できるといいね」
「うん」
はにかむ表情がめっちゃいい。こんなにひたむきな土岐くんの努力が報われますように。
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