見かけによらない君

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*** 「って感じっすね」  ため息混じりに私が言うと、レジで隣に立つ田澤さんはこくりと頷いた。 「私教えるの下手なんで、分かんないとこあったら何でも聞いてください」 「ありがとうございます」 「あっ、ネームちゃんと付けとかないと店長に怒られるっすよ」 「え、あっ……」  胸元を指さされた田澤さんが、途端にあわあわと履いているデニムのポケットを弄り始める。  黙って立っていると人相が悪く近寄りがたいのに、仕草がいちいち小動物っぽいなこの人と思う。  取り出した『研修中』のバッジを田澤さんが胸元に付けるのを見届けると、私と彼は顔を見合わせて頷き合った。 「らっしゃいませぇ」  入店の音楽が鳴り響いて視線を移すと、友達の希がこちらに向かって手を振ってきた。 「ら、らっしゃあせぇ」   緊張の面持ちで田澤さんが来店の声がけをする。口調まで私の真似しなくていいと思うんだけど……。  レジで並んで立つ私達を、ミーアキャットみたいにぴんと背筋を伸ばしながら見ると、希は曖昧な表情を浮かべながら"とりあえず"という調子で、ぺこっと会釈(えしゃく)する。  私はぶんぶんと首を左右に振った。 「いやいや、この人、店長じゃないから!」 完
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