月光

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机の引き出しに大量に増えた文具を見て、掃除をしてくれていた母が万引でもしてきたの!?とさめざめと泣いていたのを今でも覚えている。 子供にできることなんてそれくらいだよね、と思い出しているとさっきまでのささくれた気持ちがいくらか和らいだ。 毎日会えることの嬉しさの反面、気持ちを押さえることへの限界値を更新し続け、そのうち必ず暴挙に出そうな予感がする。 同性しか恋愛対象にならないことを隠すのは割と簡単だ。 対象さえ現れなければの話だけれど。 異性の話が出るたびにヂリヂリと胸が痛む。 脳の奥が沸騰するかのように血液が体中を巡って、耳鳴りが始まりそうなほど鼓動が強く脈打つ。 親友の地位を降りたりしなければ、たぶん一生をともに過ごせるに違いない。 それこそ結婚をして家庭を持ち、子供ができて家族が増えたとしても……私と彼女の関係は今のまま、命が尽きるまで親友でいられるだろう。 この思慕に蓋をすれば。 いつもの自宅までの道のりが、夜の闇に紛れて、永遠に続いているような気がした。 「いつも目が合う男子がいるんだけど……」 そんな一言が私の耳を打った。
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