2人が本棚に入れています
本棚に追加
「え? また? ストーカー疑惑?」
また、と称したのは何度となく同じような出来事があったからで……。
心理学の講義がもうすぐ始まる。
「2段上の一番右にいる人」
「あんたは振り向かないで」
私だけちらっと後ろを見た。
「(うん。見てる。視線が不躾なやつね)」
こんなに視線を外さずにいるのに、私が気づかないなんて。
「いつから?」
またヂリヂリと痛み出す胸。
「最近ではあるけど…2ヶ月くらい前…かな」
「なるほどね……講義が終わったら行くわ」
「大丈夫?」
「話するだけだし。みんながいるところで速攻かけるからまあ……」
話の最中だけど講師が入ってきたので真面目に講義を受けた。
「ねえあなた」
「はい」
「どうして美月をずっと見てるの?」
話しかけても美月から視線を外さない。
「憎いから」
「(即答。でも……憎いってなに?)」
「なんで? 美月がなんかした?」
「独り占めしてるから」
「何を?」
「あなたを、ですよ。陽子さん」
「は?」
「僕が好きな、あなたを、独り占めしてるから」
初めて私と視線が絡んだ。
ニヤっと笑う顔が、生理的に受け付けない。
「────っ!!」
最初のコメントを投稿しよう!