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「睨まれてたの。毎回。陽子のそばにいるときは」
「………」
「怖い目にあわせてごめん。私が話つけに行けばよかったね」
俯いて、美月は自分の両手を組んで話を続けた。
「陽子に対して危ないことするわけないって勝手に思い込んでた」
「どうして?」
「陽子のこと、好きだからに決まってんじゃん」
絶句。
「普通好きな子に危険なことしないよ。どんだけ病んでんだって感じ」
「美月……」
「あ、ごめん」
美月がやっとこちらに視線を上げた。
「ううん。私もそう思う」
「ねえ陽子……。私とずっと一緒にいてくれる?」
急に真剣な顔で聞く美月に私は目をみはる。
「いるよ。一緒にいる。……急にどうしたの?」
眉間苦しそうに寄せた美月の顔があまりにも辛そうで、聞かずにはいられない。
私にとっては長い、彼女にとってはどうなのかわからない間が流れ、辛抱強く美月の言葉を待った。
「ねえ、陽子……」
「うん?」
静かな声が、噴水の水音にかき消されそう。
美月の体温が傍らに感じられるくらい寄る。
「私が大学に入ってさ、一人暮らしを始めてずっと……陽子は毎日私の部屋で、私が眠りにつくまでそばにいてくれたね」
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