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「そうね……いつの間にか日課になってた」
思い浮かべて小さく笑いがもれる。
「来る日も来る日も、嫌な顔せずそばにいてくれた。私それだけですっごく満足してたの」
また、美月は苦しそうに笑う。
「満足ってなにが?」
「私の心が」
「美月の、心……?」
チクリと胸を刺したのは、今そばにいるという現実。
傍にいられることで生じる私の心の葛藤。
美月の心も、私の心の半分と同じことを感じていたんだ。
「(一緒にいられて嬉しい、と)」
あとの半分はたぶん一生重なり合うことはないの。
「(だって私は……)」
「でもね、今はそばにいるだけじゃ…足りないの。あなたの視界をすべて私で埋め尽くしてしまいたいほど……もう、陽子が欲しくて我慢が利かなくなってる」
そう言って、私を見つめた彼女の真剣な眼差しが私だけを視界に捉えている。
「(それは…つまり…)どういう意味なの?」
鼓動がうるさくなる。
耳の奥でドクドクと音を立てるのがとても煩わしい。
だって、美月の声が聞こえなくなっちゃう。
「(心臓、うるさい……)」
「私は、陽子をそういう意味で好きって言ってる。欲しいのはあなたのすべて」
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