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月光
春の夜は、夏の夜より星が霞んで見える。
星の瞬きはさきほどまで一緒にいたあなたの笑顔のよう。
眠りに落ちたのを確認して、名残を惜しんであなたの部屋をあとにするのはもう何度目だろう。
いつまで、私はあなたの友人でいられるだろう。
高校からの付き合いが始まり、彼女への恋慕に気づいたときには無二の親友という絆が確立していた。
何でも話せる親友。
親も安心してお泊りが許される親友。
お風呂も一緒に入れる親友。
恋バナは当たり前の親友。
「はぁ~……」
あなたにとって私の何が信用に値するんだろうか。
深い吐息とともに重い気持ちも吐き出せたらいいのに。
自分が同性を恋愛対象に見ている、と気づいたのは小学5年のときだった。
いつも職員室にいる教師とは違う職業である事務職のお姉さんがすごくきれいで、憧れが一気に恋に変貌した。
小学生が職員室に行く理由なんてそうそう見つからず、学校販売の文具を売ってもらうときくらいしか接点がなかったから、お小遣いを駆使して安い消しゴムや鉛筆をせっせと買いに行ったっけ。
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