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「こうだって!」  グイッと腕を引かれてドキドキが止まらない。 「ふふっ、真っ赤」 「仕方ないだろ!やったことないんだから!!ひなみたいに誰かと付き合ったこともないんだよ!」  笑われてヤケクソになった。  ひなの腰に手を回しているなんて……心拍が上がり過ぎて気を失いそうだ。 「あのねぇ……付き合ったって言っても一ヶ月もないのよ?」 「へ?」  見下ろすと、ひなはフイッと顔を背ける。 「突っかかってくるかと思ったら、今度は無視してくるし……忘れてやろうと思っただけだし」  え、それって……。  口を尖らせるその姿がかわい過ぎて、回していた腕に力を込めた。 「ちょっ!!苦しっ……」 「好きだ!!」 「はぁ!?」 「本当、マジで好きだ!!」 「……バーカ」  ひなの顔を覗き込むと、ひなは隙をついて俺の腕の中から抜け出す。  追いかけると、ひなは既に下駄箱で靴を履いていた。 「帰るよ」 「え?」 「一緒に帰るでしょ?行こ!!」  名前を呼んでもらっただけでこんなにも嬉しいなんて。  俺も慌てて靴を履いていると…… 「……好きよ」  聞こえた気がして顔を上げる。 「……何?」  顔を赤くしながら何でもないフリをするひな。 「いや……好きだなぁって」 「……バカ」  隣に立つと、ひなは赤くなった顔を隠した。  そんな姿……どうしろと言うのか。 「……くっそ好き」 「もーいいから!」 「何回だって言うぞ」  今まで言葉にできなかった分も……  ずっとずっと好きだったんだから。
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