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「……世古」  近くまで行って躊躇いながら様子を窺うと、ひなは眉を寄せた気がする。 「えっと……」  怒っているかも、そう思うと言葉がうまく出て来なかった。 「ねぇ、どれが本心?」 「は?」 「今日のあれは……告白じゃないの?」  もうどう見たってムッとしているひな。  俺はフーとゆっくり息を吐き出してからしっかりひなに向き直った。 「告ったよ!ずっと好きだったから。ずっとずっと……ひなだけだったから」  決めてやりたいのに涙が滲んできて、声が震える。  情けないけど、もう逃げたくはなかった。 「好きなんだよ!保育園の頃からずっと!嫌われてたって、他に彼氏ができたって……ずっと好きだったんだよ!」  鼻声だし、涙でひなの姿が霞む。 「くそっ……カッコつかねぇ」  舌打ちして手の甲で涙を拭うと、ドンッとぶつかられて思わずよろけた。  目を見開くと、そこに居たのはひな。  そりゃ、この場にはひなしか居ないんだが。 「……遅いっ!!」  手を伸ばして頬を引き伸ばされて瞬きを繰り返す。 「……抱き締めてくれないの?」  プクッと頬を膨らませたひなを見て、俺はそろりとその細い腰に手を伸ばした。
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