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「うわあ、すごい雨」  委員会が終わり、一直線に向かった先は昇降口。今すぐにでも走って家に帰りたいというのに、あいにく雨が降っていた。  深いため息をつき、ローファーに履き替えると、後ろからある一声が耳に入った。 「ヤバ、雨降ってんじゃん」  幼馴染の陽人だった。さらさらのストレートへアに、整った顔はいつ見ても息を呑む美しさだった。 「やっぱ、そう思うよね?」 「そりゃあ。走って帰りたかったのに」 「言うと思った」 「…………」  2人の間に沈黙が流れる。その気まずい空間を和ませるかのように、陽人は言う。 「一緒に帰ろ」  少しずるいのも陽人の特徴。 「――うん」
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