④こんなはずじゃなかった

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④こんなはずじゃなかった

「ぅう、はっ…ふっ…あっあぁあー」 なんでこうなったんだ? なんで今俺。 「かわいいね、縁くん。もう、イキそう?」 いやだ!いやだ! 薄暗い部屋。ここは出口の部屋。 ベッドの上、出口の腰が動いて、尻を突き出した俺の後口に出口のソレが入っていて、ずっと蠢いていて内壁の1箇所を刺激してきて、前を出口の手が扱いてて、トロトロの俺の透明のソレが俺のソコを濡らしていて、俺は悔しくて、枕に顔を沈めて歯で枕を齧って、俺の手はシーツを握りしめてる。服は着てる。Tシャツだけ。下は何も着てない。脱がされた。 「縁くん、肌ツルツルだね。ムダ毛なくて、女の子みたいだ。」 「うる、せえー、!!お、れ、…おんな…じゃねえ!!ってぇ!!」 悔しい。こんな奴に、なんで、なんで…。こんな、尻でセックスなんか。 「乱暴な言葉遣いも嫌いじゃないよ。縁くんの声かわいいから、もっと鳴いて。」 激しく揺さぶってくる。変な感じになるとこに何度も当たる。 「ぁあ!…あ!…あ!…あぁあああ!」 「かわいい。」 すごい激しくて、体が砕けそうだし、頭まで突き抜けてくるこの感じは 「…や、……だ!もう、…や、め」 「やめない。かわいい。」 アレが出そうだ。自分でする時とは違う感覚。 「ぅうう!!ふっ、あ!……んん!ぅう!……も、出、る!うぅう!」 中の一点に当たる刺激にガクガクと体が震える。 「いいよ。一緒にイコ。」 耳のそばに声が聞こえて、語尾が甘い音、息が耳を撫でる。 波打つような感覚に、もう耐えられない。 「あ、…イ…、イ、……イク!!…ぅあ……!」 信じられない。 自分が信じられない。 射精してしまった。男に扱かれて、後ろに突っ込まれて刺激されて。中に、コンドーム越しに熱を感じて。 体を震わせて涙と鼻水と涎を枕にだらだら流している。 俺、何やってるの? 俺、なんでこんなヤツと。 体が力をなくしていく。動かされた腰がガクガクと震えている。息が整わない。涙が止まらない。 「大丈夫?縁くん。」 なんだよ、その質問。こんなことしといて。 俺の顔を覗き込みながら、前髪を撫でてくる。悔しいけど、払いのける力もない。 「僕ね、縁くんがウチに来るようになってから、ずっと縁くんが好き。」 「……うっ。うっう。」 「ねー?泣かないで。」 泣くに決まってんだろ。俺、無理矢理されたんだぞ? 「もっと、好きになっちゃったよ。縁くんのこと。」 俺は、もっと嫌いになったよ、あんたのこと!! 「ね?初めてはどうだった?」 どうだったも何も…ずっと、体がゾクゾクで何がなんだか…。 「泣いてる顔もかわいいね。もっと見ていい?」 出口を睨みつける。 「なんで、こんな…こと…したんです、か?」 出口は、仕方ないような顔をして俺の頭を撫でてきた。 「決まってるよね?」 「え?」 「僕ね。縁くんを僕のモノにしたいんだー。」 「!」 頭を撫でる手が、顎に降りてくる。 「それに、縁くんが誘ってきたんだよ?」 「え!?」 そんなわけあるか!そんなわけあるはずないだろ! 「酔っていたとはいえ、あんな風に誘われたら僕だって、止められるわけないよね?」 記憶を辿っていく。酔ったのは、確かにそう…俺は、その時のことを思い出して、青ざめた。 「違う!!誘ってなんかいない!!!」 「そうかな?よく思い出してよ。」 「絶対にちがっ…ん!」 出口は、俺の口を唇で塞いできた。 「お望み通りに今夜は寝かさないから。」 優しい顔でそう言われて、怖い以外のなにものでも無い。
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