④こんなはずじゃなかった

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いない。よし。 そう思って脱衣所に身を移し、素早くタオルを手に取って、下半身を先に拭き、着替えを入れるカゴから用意してもらったパンツを手に取って驚いた。青いボクサーパンツは前が開いてないタイプの千鳥格子柄。 「これ、俺のだ。」 思わず声が出た。前回来た時、アイツが洗濯してくれたパンツだ。だが、その下にあるスウェットズボンやTシャツは、アイツのものだ。俺の服は!? グオオオンと、機械音がして、それを見た。セ、センタクシテル。洗濯してる!!俺の服ー!!? これじゃ帰れない。 とりあえずパンツを履いて、アイツに抗議するため急いで体を拭き髪を拭き、アイツの服を着て、脱衣所から出た。 「おい!俺の服!!」 「あー。汗とデオドラントの匂いが染み付いちゃうから洗ったよ。」 「ありがとう!」 出口が目をキョトンとさせてからニッコリ笑った。 「え?そんな怖い顔でお礼言うの?どういたしまして」 俺は自分が言った言葉を振り返って赤面した。 「あ、その、…帰れない、です。あの。」 凄んだはいいが言葉が出て来ない。 「オムライス食べてから考えなよ。檸檬堂とほろ酔いのカルピスだったらどっち好き?」 「ほろ酔い…。」 出口が、冷蔵庫からその2本を手に取って俺に近づいて来る。で、缶をおでこにつけられた。 「ドライヤーどこにあるかわからなかった?」 俺はほろ酔いを受け取って頷いた。 「おいで。乾かしてあげるよ。」 まだ、熱気の残る脱衣所に戻されて、洗面台の前に立たされた。ドライヤーを髪に当てられる。優しい手つきに、意識が飛びそうになる。 「眠い?」 「はい。」 「かわいい。」 髪が乾いたのを確認すると顔を覗き込まれた。 「やっぱり、前髪、もう少し切ろうよ?」 そう言われて目が冴えた。 「嫌です!」 「ふふ。まあ、考えといてよ。さ、お腹すいたね。食べようオムライス。」 髪を撫でられた。
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