⑤休日なんて聞いてない!

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まさか、高校卒業してからボールを追いかけまわすことがあるなんて思ってなかった。 「ほらほら油断してると、またポイント僕がもらっちゃうよ。」 つーか、コイツ。自分が背が高いってこと忘れてるだろ。ドリブルしながら俺の前でニコニコしやがって。 てか、こんなフリーでバスケして遊ぶ屋外の場所があるなんて知らなかった。ボール使い放題とか。部活かよ。 「ねえ、縁くんが勝ったらさ。」 「え?」 「1回でも、僕からポイント取れたら。」 「はい。」 「ただのお客さんに戻って良いよ。」 「え?」 「もう、こんな風に会わない。好きだけど諦めるよ。」 マジか。解放されるのか。何がなんでもボール奪い取ってやる。そして目指すはゴールネット。 「絶対だな?」 「うん。じゃあ、仕切り直しね。縁くんがオフェンスからで良いよ。」 絶対に勝ってやる!体育の成績は良かったんだ。舐めんなよ。 出口からボールを受け取った。3ポイントラインに立つ。目の前の出口がよりデカく見える。壁みたいだ。 「どうした?攻めてこい。」 口角を上げて楽しそうにしている。 「うるせーよ。舐めんな。」 フェイントをかけて切り込んだ。が、簡単についてくる。ゴールが遠い。ディフェンスを抜こうとしても抜けきれない。仕方ないから1歩下がってシュートを打つが止められる。 「ずりぃよ!あんた、でけーじゃん!!」 「ふふ。また、縁くんがオフェンスでいいよ。」 また3ポイントのラインに立つ。 ボールを渡された。 「来い、縁。」 名前を呼び捨てにされて、胸がドクンと音を立てた。記憶の声と重なったから。 「うるっせ!呼び捨てすんな!」 力で向かっていった。押されて、背中から倒れた。 「クソ!!」 手を差し出された。 「ほら、立って。もういっちょ来い。」 その手を握ることはなく、自分で立ち上がった。こんなヤツに縛られっぱなしでたまるか。コイツとはもうセックスしないし、何より、プライベートをコイツと共有するのはもうごめんだ。 「あんたが余裕こいてられんのは今のうちだけだ。俺は体育の成績5の天才だ。」 「へえ。早く見せてよ、その実力。」 「うるせえ!」 フェイクをかけて切り抜ける。だけどすぐに追いつかれる。かわしてもかわしても壁が目の前にやってくる。ゴール下に行けない。ゴール下にさえいければ。 「どうした?天才じゃないのか?」 「だから、あんたがでけーから。」 コイツがでけーから抜けないんじゃない。コイツが上手いから上も下も右も左も隙がないんだ。力で行ったら押されて終わりだ。どうしたら…どうしたらいい。 「あ!」 ボールを奪われて、 「バスケはこうやるんだ。」 腕を伸ばしてジャンプをしたが簡単にシュートを決められた。 「あー!!」
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