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舌打ちを一度した後、藤崎へ襲い掛かる、幾度と藤崎に襲い掛かる拳を、彼は必死に避けた。瀕死前の状態で身体は重たかったが、冷静を失った彼は大振りで振るってくる為、ふらついた身体でも避ける事が出来た。
倒れるように大男の入り込むことが出来た藤崎は、身体を回して大きく振り上げる。男はそれを防ぐことができず、顔面に縦筋の刀傷が入った。
「よくもやりやがったな!!!」
大男は傷を抑えながら叫ぶ。痛み、憎しみ、悔しさが渦巻いたその声は、辺りの草木を震わせた。
もう一歩も動けそうにない。諦めかけた藤崎の真横を、何かが通りがかる。見上げた藤崎の視界には、顔面に蹴りを食い込ませた大男の姿と、その足の主が映っていた。
「よくやった」
呟いた女性の労いの言葉に安堵出来た藤崎は、その場に倒れ込み、意識を失った。
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