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再会
数日後のことだった。
例の番号で電話が鳴った…。
まさか…また?
不意にこの前の事を思い出す…。
『もしもし…』
『すいません、あの〜…』
声のトーンは高かった。
どうやら嫌な予感ではなさそうだ…。
『今から出てこれますか?お話したいんです。』
『今から…?いいけど?』
『それじゃ、お願いします。』
また、あの公園にやってきた。
真ん中に浅い小さな池があり、その前でということだった。
『どうしたの?急に?』
『すいません、どうしてもこの間の事を、会って謝らなければならないと思って…』
『もういいよ?どう?少しは元気になった?』
『はい、おかげさまで…本当にご迷惑かけてすいませんでした。』
『もう気にしなくていいって…』
『ありがとうございます。』
『用事はそれだけかな?』
『い、いえ…』
そう言って彼女は黙り込む。
『何? どうしたの?』
『これからも会ってもらえませんか?』
『えっ!どういうこと?』
『もっとあなたが知りたくなったんです…あんなことに巻き込んでおいて言うのも難ですが…嫌な顔せず付き合ってくれるから…。』
と言ってうつむいてしまった…。
『どうせ暇だから別にいいけど…』
照れ隠しに無愛想に答えてしまった。
これが全ての始まりだった…。
それからは、彼女から連絡があった時に会うようになった。
本当は意外と明るい子なんだな…
よく笑う子なんだな…
会うたびに徐々に心が惹かれていった。
最初は面倒にすら思っていたはずなのに…
いつしか自分から彼女に連絡して会うことが多くなっていった。
そして、思い切って告白。
彼女は照れくさそうに
「やっと言ってくれた!お願いします。」とだけ答えた。
こうして恋人となって数日後のことだった。
『助けて!』
不意の彼女からの電話だったが、その声を聞いて急いで家に向かった。
そう、彼女は昔の彼氏にストーカーに遭っていたのだった…。
『絶対、鍵開けるなよ!』と言い聞かせて、辺りを見張ることにした。
怪しい人影はなくなっていたのだが、何かあってからでは遅すぎる。
この日は、幸いにして平穏に終わった。
そして、俺は3日間ずっと見張ることになった。
(大学は休んだのは言うまでもない…)
3日目の晩だった。
それらしき人影を見つける…。
写真見て特徴とかを彼女から聞いていたので、
それだとすぐに分かった。
気づかれないように後ろから近づいた。
そして…
いきなり思いっきり体当たりした!
見事に男は、ぶっ倒れて動けないでいた。
『おまえか!?○○に付きまとってたの!』
我ながら初めて出すくらいの怒気がこもった声が出た。
何も言わず、逃げようとしていたので、またとっ捕まえる。
もう二度としないと約束させ、事なきを終えた。
ちなみに当時は迷惑防止条例やストーカー規制法などの法規制はなく、泣き寝入りすることも多かったらしい…。
そんなこともあり、季節はいつのまにか秋になった。
そして、二人にとって分岐点とも言える事があったのだが…。
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