手のひらが伝えるもの(後編)

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こうして、俺たちは交際することになった。 前日、徹夜で考えた告白作戦は、結局のところ、予定通りには実行できなかった。 とは言え、両思いであったことをお互いに確かめ合えたので、結果オーライだ。 しかし、恵美の方が一枚、いや、何枚も上手(うわて)だった。 名探偵恵美は、自分が告白されることも見抜いていたんだな…… * * * ある日のこと、俺は恵美にこんな冗談を言ってみた。 「推理ばっかりしていると、浮気を疑う女みたいに見られて嫌われるぞ」 すると、恵美は推理するときのいつもの指振りポーズをしながら、俺にこう言った。 「あら、それは大丈夫。  だって、私は涼介が絶対に浮気をしないってこと、知っているもん」 俺の顔が熱くなった。 名探偵恵美には、やはり、すべてお見通しだった…… < 了 >
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