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昨日まで降り続いた雨は今朝になって止み、俺は学校からの帰途についていた。
交差点の向こうから、幼馴染の恵美がやってくる。
恵美は私立の制服を着ていて、それがよく似合っている。
俺は公立に通っているので、恵美とは学校が違うのだ。
にも関わらず、下校時間にこうして恵美と出会うのは、恵美の家が俺の向かいにあるからなのだ。
「涼介! 塾はサボり? だめですね」
出会い頭のセリフがいきなりこれだよ……
恵美は続ける。
「あれ? なんでサボったことバレてる? って顔しているね」
俺は顔に出やすいタイプだ。
恵美はニヤニヤしながら指摘してくる。
「いつもはあっちの道から出てくるはずなのに、今日はこっちから来た。
塾はこっちの道じゃないよね~」
俺の行動パターンが読まれている。
恵美は人差し指を出して、顔の前で立てた。
「何をしていたか、当ててあげる!」
「いいよ……余計なお世話だよ……」
俺の言葉を聞き流して、恵美は勝手に推理を始めた。
「涼介……あなたは塾をサボって……本屋さんに行ってましたね」
ズバリと当ててくるから恵美は恐い。
「な、なんでそう思うんだよ?」
「ふふふ……」
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