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恵美は立てた人差し指を左右に振る。
推理するときのお決まりのポーズだ。
そして、その人差し指を俺の足元へと向けた。
「その泥だらけの靴。ぬかるんだ道を歩いてきたでしょ」
確かに、俺の靴には泥が付いている。
「昨日まで雨、降ってたし……」
「今朝は止んでいたよ。それにほら、この辺りはほとんど乾いている。
それなのにその靴の泥、さっきついたばかりって感じ。
この辺りで水はけが悪い道は、あの本屋さんの前の通り」
靴を見て、どこを歩いていたかまで分かってしまうのか。
「しょ、証拠はあるのかよ?」
それを聞いて、恵美は吹き出した。
「何それ! 開き直った犯人みたいなセリフ。
でもいいよ、証拠、見せてあげる」
恵美は近づいて、俺の体を触った。
「え? 何すんだよ」
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