同窓会?

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 がくん、と頭が落ちて、目を開けた。  マンションの床が揺らいで見える。アイボリーのヒールを履いた自分の足。  こんな靴持ってたっけ……そうだ同窓会に浮かれて買ったんだった、と思い当たった瞬間、千早君の声がした。 「あ、気がつきました?  マンション着きましたよ」 「ふぇ?」  私の腕は彼の肩に回されていた。支えられている。  意外とがっしりした感触にどぎまぎした。 「ええ……ここまでどうやって」 「タクシーで」 「お金……」 「奈津さん、ちゃんと出してくれましたよ」  記憶にないけれど、住所も言ったんだろうか。 「ごめんね、ここで大丈夫だから」  そう言って彼から二、三歩離れた私は、その場に座り込んでしまう。 「無理ですって、そんな調子じゃ。部屋まで送りますから」 「うう……鍵どこだっけ」  バッグを差し出され、私はなんとか鍵を見つけ出す。  結局千早君は部屋まで入ってきた。 「ほどよく散らかってますね」 「だって今日人が来るって思ってなかった……」 「なんか安心感あります。高校の時は完璧に見えたけど、奈津さんもこういうところあるんだなって」    支える手はどこまでも優しく、私をベッドに寝かせてくれた。頭を撫でられる。 「そういうことするの、よくないよ……」  言ってしまって、なんだか逆に誘っているみたいじゃないか、とぼうっとする頭で思った、けど。 「じゃ、帰ります」 「え、帰るの?」 「ええ。すみません飲ませすぎちゃって。楽しい夜でした」 「千早君……」 「おやすみなさい」  彼は部屋の電気を消して、出て行った。急に部屋が静かになる。  また彼は、すり抜けていく。  逃げられると気になる。後を追いたくなる。  でも今日は無理だ。だってもう立ち上がる気もない。  ふわふわと、全身が気持ちがいい。  お酒に酔ったのか、千早君に酔ったのか。  たぶん両方……。  あれ、スマホどこにやったっけ。  それより、眠い……。  私は目を閉じた。
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