もしかして

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もしかして

 昨夜のテレビは衝撃的だった。  SNSから意中の人物を特定する話。  名前や誕生日からアカウントを推測する。  写真の背景から住所を絞り込む。  他にも、同級生を装ったアカウントを作り、鍵アカの人にフォロー申請する、などなど。  私は布団を頭までかぶり、スマホをいじる。  先日相談した画面をスクショして、InstaからルミにDMを送った。 「このTwitteアカウントってルミだよね?」  予想が外れててほしい、と思ったのに。 「私Twitteはやってないよ?」  冗談だよね、と言いたくなるルミからの返事。  動悸が早くなる。 「だってInstaと同じ写真にコメントだし、アカウントだってルミの誕生日入ってて」 「えー、マジで言ってる? なりすまし?  怖いんだけど」  ちょっと調べてみるね、また連絡する、とルミからの返事は途切れた。  私は回らない頭で考える。  Instaに上げた写真。空、綺麗な景色、美味しかったランチ。  それだけでは私だと特定できないかも。  でも、よく私を見ている人物なら。  たとえばジアン君のストラップ、なんてことない教室や職員室での会話。  集めたヒントから、私と、相互のルミを見つけてTwitteでルミを装うアカウントを作ってフォロー申請。つぶやきと写真から住所を絞り込み、近所をうろつき、偶然を装って声をかける。  考えすぎだろうか。  でも実際私は、ルミだと思ってフォローして、やり取りした。  不意に、背中に冷たいものが走る。  私の手の中にある、一晩千早君のところにあったスマホ。  もしかして、わざととったの?  私のスマホに、なにかしたの?
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