雨の声

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【場面転換】 ▼:「キミとは、ここでお別れだ」 〇:「突然、どうしたの?」 ▼:「光が、消えてしまうんだ。」 〇:「どういうこと?光が消えることなんて」 ▼:「俺は、光の声が聴こえているわけじゃないんだ。星の声が聴こえていたんだよ。」 〇:「星の?」 ▼:「そう。そして、星には寿命がある。」 〇:「それは知ってるよ。でもあなたと星の寿命に何の関係があるの?」 ▼:「俺は、その星なんだよ。」 〇:「な、何を言ってるの?そんな不思議なこと、ある訳ないでしょ。」 ▼:「(微笑みながら)あるんだよ。不思議なことって。」 ▼:「あーあ、せめて星が見える夜が良かったな。」 〇:そう言った彼は、すごく辛そうな表情をしていた。 〇:何か声を掛けないと… 〇:そう思っても、どうしたらいいか分からなかった。 〇:彼の一言を聞いたところで目が覚める。 【場面転換】 〇:「また、夢…。」 〇:「でも、少し進んでる。」 〇:一体、彼は誰で、どうして私にとって大事なんだろう。 〇:そして、雨の日に公園で会う彼は… 〇:そんなことを考えていると来た時より強い雨が降っていた。 〇:こんなに色々な雨の声がしているのに 〇:聴こえていないほど、夢に囚われていたのか。 〇:そう思いながら、雨の声を聴く。 ■:今日も雨が降っている。 ■:きっと公園に行けば彼女に会える。 ■:そして、確かめたいことがある。 ■:「こんにちは。」 〇:「こんにちは。」 〇:「今日も来たんですね。」 ■:「はい。1週間ぶりの雨の日ですから。」 〇:「…。」 ■:「あと…あなたに確かめたいことがあって。」 〇:「確かめたいこと?」 ■:「はい。」 〇:「何でしょう?」 ■:「あなたは…これに似たものを持っていますか?」 〇:「それは…?」 ■:「僕の家で代々受け継がれているものなんですけど。」 ■:「これ、見える力を強めてくれるんです。」 〇:「力を強める…」 ■:「はい。元は星のかけらだと言われています。」 〇:「星のかけら…」 ■:「そうです。何か関係があるかなと思って。」 〇:「星は…彼が。」 ■:「彼?」 〇:「以前お話した、大事な人が星の声を聴ける人で…」 ■:「星の声?」 〇:「私には最初は光の声って言ってて…」 〇:「でも、最後に会った時に『星の声が聴こえていた』って。」 ■:「何か思い出したんですか?」 〇:「いえ…ただ、夢の続きが見れたんです。」 ■:「…。」 〇:「…ごめんなさい。こんなこと言われても困りますよね。」 ■:「あ、違うんです!」 〇:「え?」 ■:「…いえ、なんでもありません。今日は帰ります。」 ■:星の声… ■:星のかけらとともに、伝えられてきた話がある。   〇:星のかけら 〇:なんだか、懐かしい感じがした。 ■:…ん?ここは… ■:夢?僕の?…誰の、夢…? ■:そこで、泣いているのは… ■:彼女が、泣いていた。 ■:雨が、降っていた。 ■:雨なのに、たくさんの星が降っているのが見えた。 ■:手を見ると、星のかけらが光っていた。 ■:これって、もしかして…あれ…? ■:夢が、消えていく。 ■:起きると、涙を流していた。 ■:僕は何故、泣いているのだろう。 ■:雨だ。 ■:雨の降る日が、多くなった気がする。
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