雨の声

6/18
前へ
/19ページ
次へ
【場面転換】 - 公園 - ■:「あ…。」 〇:「……(傍にいる事に気づいていない)」 ■:「あの。」 〇:「え…あ…。」 ■:「先日はすみませんでした。」 〇:「あ…いえ。あなたの謝ることじゃないですよ。」 ■:「でも…。」 〇:「ふふっ。」 ■:「え?」 〇:「あ、ごめんなさい。出会ったばかりの頃を思い出してしまって。」 ■:「あ…。」 〇:「あの日も、あなたが声を掛けてくれて…」 ■:「そうですね。」 〇:「…あれから、考えたんです。」 ■:「え?」 〇:「どうして、私はここに居るんだろうって。」 ■:「…。」 〇:「雨の声に耳を傾けても、答えは返ってこない。」 〇:「だけど、あなたが言うように雨を司る神なのだとしたら、この場所に何か意味があるんじゃないかと。」 ■:「場所…。」 〇:「えぇ。本来、神というのは祀られているものでしょ?」 ■:「はい。」 〇:「だけど、私はこうして公園に来ている。」 ■:「この場所にこだわる理由があると…?」 〇:「何となく、ですけどね。」 ■:「…僕もあれから考えました。」 〇:「え?」 ■:「あなたのことを傷つけてしまったのに、こんなことを思ってはいけないとも思ったのですが…」 〇:「…嬉しい。」 ■:「え?」 〇:「あなたは私のことを、ずっと考えてくれているんですね。」 ■:そう言って、彼女は今までに見たことのないような笑顔で、僕を見た。 ■:僕は ■:この人が好きだ
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加