花乱れ咲き終わる夏

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 きちんと立ち止まって、俺の目を見て話を聞いてくれる。そんなところも好ましく思っていた。どんどん、ナツの仕草に、香りに、心が惹かれていく。  恋人でも、友達でもない。ただの先輩後輩の域を超えた"何か"。その期間が伸びるたびに、これからどうしていいのか考えてしまう。 「彼氏とか作らないの?」  一番ダメな質問をした自覚はある。でも、ナツの思いがまだわからない。どうしてこんなに俺と居てくれるのか。どうしてこんなに俺に時間を使ってくれるのか。自信がない。 「作りたいんですけどね、なんか、馬鹿みたいに鈍感なんで。好きな人が」  一気に強くなる甘い香りに、胸が高鳴る。この甘い匂いが強くなるたびに、期待してしまう自分がいた。  目つきだって悪いし、人相だって悪いし、口調だって優しくない。そんな俺のどこがいいかもわからない。
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