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ドッキリその1・浅野圭一
「……という感じです」
都内にある某テレビ局の会議室で、有名なドッキリ番組の打ち合わせが行われていた。今回ターゲットとなったのは、若手お笑いトリオ「ググルット」のボケ担当、浅野圭一だ。
仕掛人は、同じググルットのメンバー。ツッコミ担当の高橋浩二とWボケ担当の堂島三太郎の二人。
ドッキリの内容は、ニセ番組『怪奇でshow』の楽屋で怪奇現象が起こり、ニセ霊媒師に“昔、浅野にフラれた女の霊がいる”と鑑定を受ける───というものらしい。
「例えば、勝手に物が動いたり、急に物が落ちたりと、そんな感じです。二人には、怖がったり、怪しんだりする演技をお願いします」
「わかりました」
「最終的にはどうなるんです?」
高橋が手渡された台本を見ながら尋ねると、番組ディレクターは楽しそうな笑みを浮かべながら言った。
「最後には、ゾンビの格好をした女優さんが楽屋に現れて、番組タイトルのフリップを出してネタバレ───という流れになります」
「なるほど、わかりました」
「収録までの間に、浅野さんにバレないように気をつけてくださいね」
そう念を押すと、ディレクターは満足そうな顔で会議室を出で行った。
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