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ドッキリその2・高橋浩二
「実はこれ、Wドッキリなんですよ」
会議室に入るなり、ディレクターは二人に向かってそう言った。
今回のドッキリは、ターゲットである浅野を騙していると見せかけ、実は高橋を騙す企画だったという。
「あいつ、嬉しそうにしてたろ?」
「嬉しそうというか、気合いは入ってる感じだった」
「実は、自分が騙されてるとは知らずにな。ハハッ!」
浅野は、高橋をドッキリに掛けることが余程嬉しいのか、機嫌良さげに高笑いをした。一方で、先程の打ち合わせにも参加していた堂島は、ソワソワと落ち着かない様子だ。
「堂島さんは、浅野さんを騙すふりをしなくてはいけないので大変だとは思いますが、まあ、やることはそう変わらないので」
「はあ……」
堂島は曖昧に返事をすると、追加で渡された資料に目を落とした。
高橋へのドッキリは、浅野のドッキリのネタバレが終わった後からになる。浅野が今回の番組企画に不満を訴え、堂島と喧嘩になるという件だ。
「二人が乱闘になって、浅野さんが堂島さんを殴り倒してしまう。その時、たまたま楽屋に入った番組関係者に警察を呼ばれて───という流れです」
「なるほど」
「あいつの狼狽える姿が目に浮かぶな」
浅野は相変わらず上機嫌だ。
「で、ニセの警察官とのやり取りの中で、ネタバレってことですね?」
「ええ、そうです。どうですか? やれそうですか?」
ディレクターは身を乗り出しながらそう尋ねた。この企画に、並々ならぬ思いがあるのだろうか?
「俺はやりますよ。堂島は?」
浅野が堂島を促すと、自信なさげな表情でコクりと頷いた。
「難しそうな役ですけど、いつものコントだと思ってやってみます」
「そうですか。では、収録の日までよろしくお願いしますよ」
そう言って、番組ディレクターは会議室を出ていった。
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