大切な人だから2

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大切な人だから2

その夜… 望が家に帰ると…、 蓮が玄関で仁王立ちしていた。 「た、ただいま… どうしたの?怖い顔して… あ…もしかして… 怒ってる?」 「も~っ! どうして先に言ってくれないの~ あんなに痛いなんて、 聞いてないよ~。 望の意地悪💢」 「ごめん、だって… 言ったら、 行かないとか言いそうだから… 悪かった。謝るよ。 でも…」 「わかってる…。」 蓮は望の首にしがみついた。 「ありがと… 行ってよかったわ。 痛かったけど…すごく… 自分の身体が 今どんな具合なのか よく分かったし…、 どこが悪いのかも 分かったから。 怒ってなんか、いない。」 「そうか。よかった。 悪いところがなければ、 そんなに痛くはないんだ。 痛いって事は、 そこが病んでいるからなんだよ。 先生に聞いたろう?」 「うん。 結構老廃物も溜まっているし、 気の流れが 滞っているところがあるって。 それにね、 胃が悪いと思っていたら、 どうやらそうじゃなくて 膵臓だったみたい。」 「膵臓?」 「うん。 胃のところを押されてもそれほど痛まなかったのに、 膵臓の反射区を押されたら もんのすごく痛くて、 しかもなんだか こりこりしこりがあるの。 それに、私、 鳩尾(みぞおち)の裏の 背中が痛かったのよね。 その話をしたら、 背中が痛いのは 膵臓の機能低下なんですって。 吐き気とか下痢はないから、 膵炎まではいってないだろうって 先生はおっしゃっていたけれど。 肩こりとか 首の重だるさもずいぶん楽になったし、 とにかくしばらく通ってみる。 それにしても… あんなに痛い療法を 子どもの時にしていたの? 望は。」 「先生も言っていたと思うけれど、 我慢できないほど 痛くはしないんだよ。 子どもには それなりにちゃんと 手加減してくれるのさ。 それに、 子どもは大人と違って アルコールを飲むわけでもないし、 自分で自分の内蔵を 傷めるようなことはしないだろ? だから、 そんなにひどい目にはあってないの。 でも、 大人の人たちは 結構ひいひい言っていたからね… 痛いらしいって事は 知ってたんだ。」 「ずるい…、望。」 蓮は睨んだ。 「だから、謝っているだろ。 ごめんって。 蓮は、 我慢強いって褒められたろう?」 「お蔭様で、ほめられましたぁ~ え~ん、いたかったよ~」 「分かった、分かった。 後で僕が よしよししてあげるから…」 「ダメっ。さわっちゃ。 太ももなんか、 まだ触っても痛いんだから~ 痛みが引くまで、 おさわり禁止!!」 そ、そんな~~
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