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 今、住んでいる家は母方の祖父が残したもの。  無駄に広くて掃除が大変と言いつつも、母が大切にしている家だ。  部屋が余っているため、新しく父となる聡史(さとし)がこの家にやってきて共に暮らすことになっていた。 「聡史さんと一緒に住むのは本当に平気?」 「大丈夫。あの人、いい人だし。姉さんになる人、陽奈子(ひなこ)さんだっけ? その人は一緒に住まないんでしょ」  これ以上、家に他人が増えるのは嫌だった。  自分の部屋に籠ってしまえばいいのかもしれないが、同じ屋根の下で暮らすのだから関わりがなくなるわけではない。  面倒なことは少しでも避けたかった。  「ああ、そのことなんだけど……」  歯切れの悪い言い方に、嫌な予感しかしない。
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