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「陽奈子さん、まだ引っ越し先が決まってなくて。それまでは家の部屋を使ってもらおうと思ってるんだけど……詩祈も高校生でお年頃だからね」 「そういうのは心配しなくていいよ。それに、一回りも上って言ってたよね。おばさんでしょ」 「もう、そんな風に言わないで。少しの間でも部屋を借りられると助かるって言っていて」 「別にいいよ。ずっとじゃないんでしょ」 「変なことしないでね?」 「ないから大丈夫」 「なんで言い切れちゃうの。詩祈は、好きな人とか彼女の話、全くしないからお母さん、少し寂しいわ」 「うん、あまり人に興味ない」  詩祈の返答に、頭を抱えてため息を吐いた。 「私の育て方が間違えたのね。ちょっとでもいいなーって()いないの? できたら、教えてよ」 「わかったよ」  少し憂鬱な思いをしながら、数週間後、家族が増えることになった。
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