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「改めてよろしくね、詩祈くん」  母と再婚する相手、聡史が優しい声で言った。 「よろしくお願いします」 「陽奈子さんは、遅くなるのかしら」  ピンポーン  母が心配していれば、玄関のチャイムが鳴った。 「来たかな。はーい」  母はパタパタと小走りで玄関にかけていく。聡史と二人きりになって、話すことが思い浮かばず少し気まずかった。 「自分の家だからチャイム押さなくてもいいのよ」 「まだ慣れなくて」  玄関で話す声が響いてくる。  実は、姉になる陽奈子とはこの日初めて会うのだ。  聡史とは何度か会ったことがあるからまだいいが、人見知りの詩祈は気が気じゃない。
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