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「ごめんね、遅くなっちゃって」
リビングに顔を出した人物の姿に、詩祈は目を奪われた。
「詩祈くんだよね。はじめまして。陽奈子です。よろしくね」
肩より少し長い栗色の髪を耳にかけて、やわらかな笑顔を向けてくる。前髪がサイドと同じ長さのせいか、透き通るような白い肌が強調して見えた。
一回りも歳が離れていると聞いていたから、想像では自分の母親のイメージだった。
それなのに、目の前にいる人は華やかな女性だ。
「詩祈、ちゃんと挨拶して! ごめんなさい。この子、人見知りで初めて会う人にはいつもこうなの」
母親のダメ出しを不愉快に感じながら、挨拶をする。
「詩祈です。よろしくお願いします」
「私も今日は、すごく緊張してるんですよ」
こぼれるような笑顔の彼女に、つい見とれてしまう。
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