0人が本棚に入れています
本棚に追加
悶々とした気持ちのまま中学校までの道を歩いていると、後ろからパタパタと走ってくる音が聞こえた。これは日常だから、誰が走って来ているか私はすぐにわかった。その足音が傍まで来た時振り返ると、どんっという衝撃と共に誰かが私に飛びついてきた。
「おはよ!」
きっと可愛く巻いただろうマフラーはその衝撃でずれてしまったが、そんな事はお構いなしに寒さで赤らんだ笑顔で元気よく言ったのは、しーちゃんだ。
「おはよ。髪ぐっちゃぐちゃだよ。」
心の内を悟られまいと何でもない振りをして私はしーちゃんの髪を直した。やだー!としーちゃんは笑いながら自分でも身なりを直し始める。これも日常。受験モードで憂鬱な毎朝だが、この時間のおかげで私は救われている節がある。
最初のコメントを投稿しよう!