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【side 旭】
薄く雪が積もっている、天ヶ原町の商店街。色んな人が、わいわいと行き交うその道を、私はぼんやりと歩いていた。
色んな人が幸せそうに歩いているこの場所が、実は結構お気に入り。お店でコロッケを買って、美味しそうに食べ歩きしてる人や、友達同士で楽しそうに服を買っている女の子達。みんな笑顔で、充実した表情をしてる。
でも、今日はいつもよりもみんな浮き足立ってるような感じがするんだ。
何かあったのかな……?
向こうから、わいわいと歩いてくる制服姿の女の子達。その子達の会話に聞き耳を立ててみる。
「ねぇ、好きな人にチョコ渡せたの?」
「えっ……う、うん。渡したよ」
「きゃー!反応どうだった?」
「……付き合うことになった」
「やだぁ!おめでとう!!」
……えっと、どういうことだろう。今日は、好きな人にチョコを渡す日……なのかな?
「えへへ……ありがと!てか、みんなにも友チョコ作ってきたんだ!はい、これ!」
「えー!まじで!?嬉しいんだけど!」
……友達にもチョコを渡す日なの?
「……ん?その右手の袋って何?」
「あー、これ?家族に渡すチョコだよ。みんな食べたがってたから、お店で買ってきたの」
……家族にまで。
今日は色んな人にチョコをあげる日なのかな?もうちょっと、色んな人の話を聞いてみよう……。
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