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中央支部へ辿り着く途中で、探していた彼を見つけた。
厚手のジャンパーを来て、小さな紙袋を片手にどこかへ向かう聖夜。一体どこへ行くんだろう……。
私は、こっそりその後をつけ始めた。
薄く積もった雪に、彼の足跡がつく。その足跡をなぞるように、私は彼を追いかけていった。
どんどん、町の中心から外れていく。建物も少なくなっていくし……こんな町外れに、どんな用事があるんだろう。私は不思議に思いながらついて行ったんだけど……その謎は、すぐに解けた。
「はー!着いた!!」
聖夜がそう言って立ち止まり、伸びをしたのは……天ヶ原町の、霊園の前。
ご先祖さまのお墓参りかな?私はそう思いつつ、聖夜の少し後ろをついて行く。でも、その予想は大きく外れたんだ。
彼は、あるお墓の前にしゃがみこんで……。
「……久しぶりだな。旭」
私の名前を、優しく呼んだ。
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