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「……外国ではさ、バレンタインって男の人が女の人に贈り物をするんだって。それ聞いた時にさ、真っ先に旭の顔が浮かんだんだ」
聖夜はそう言うと、私のお墓を撫でながら、ふわりと笑った。
「俺、旭のことが好きなんだろうな」
……え?
私のことが、好き……。その言葉を聞いた途端、胸がほんわりと温かくなる。
「……前見なきゃって分かってるんだけどさ。辛い時とか、苦しい時に力をくれるのは、記憶の中の君の笑顔なんだ……」
そう言う聖夜の表情は、優しいけど、どこか苦しそうで……。どうしたら、聖夜を笑顔にできるのか分からなくて、私は、ただ彼に寄り添った。
……聖夜が私を好きでいてくれるのは嬉しい。本当に、嬉しい……。でも、そのせいで聖夜が苦しい思いをするのは、嫌だな。
今の私は、あなたに何もしてあげられない。……だけど、あなたの幸せを、誰よりも願っている自信はあるの。
……私は、聖夜をそっと抱きしめた。
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